Posted by lawrhino - 2008.01.28,Mon
週末、兵庫県立美術館へ「叫び」で有名なムンク展に行ってきた。
ムンクはあまり好きな画家ではない。
好きではない理由は「解り難い」から。
しかし今回、美術展に行って少し考え方が変わった。
自分は昔から絵心がなくて絵を見たとき、直感的に構図の素晴らしさとか、
色使いが〜とかいったような感覚が沸いてくる事がなかった。
その為、単純にリアルに近ければ近いほど絵が上手いと感じるし、
緻密であればあるほど高い技術だと感じる。
その点からいくとムンクの絵は上手いとは思えない。
しかし、最近は絵というものを割と真剣に見るようになったせいか、
今までよりも表現という視点で絵を見る事が多くなった。
今回、表現力という視点でムンクの絵を見てると
やはり彼は偉大だなと気づかされた。
展示されている全ての絵を見て思ったのは、
彼は抽象と具象の表現の使い分けが非常に独特だということ。
ここでいう抽象というのは表現の事で抽象画とかの、
空想の世界のような世界観の事ではない。
描いている対象の抽象表現、いわゆる汎化した表現という事だ。
プロトタイプと呼んでもよいと思う。
プロトタイプ理論では人間は具象に対してその所属を認識する時、
脳内に持ったプロトタイプ(イメージ)に照らし合わせて認識する。
例えば魚を見たとき「ひれを持ってて水中で泳ぐ生物」
という脳内のプロトタイプに照らし合わせて、その具象物を魚と認識すると思う。
彼の場合そのイメージが非常に独特だった。
その表現された絵こそが彼の持っているプロトタイプなのだろう。
そしてその抽象表現で充分に彼の表現したいものが
表現しきれているのかもしれない。
まぁ残念ながら私には伝わらないものも多々あったが。
技巧的には、絵の中の最もスポットを当てたい所とそうでない所を、
抽象化するか具象化するかで表現しているものが多かった。
写真とかでも焦点をあわせるかどうかや明暗で表現したりするので、
普通といえば普通の事なのだが、彼の場合、抽象化そのものが独特なので
その技法が新鮮に感じられた。
例えば有名な「不安」と「絶望」。
構図的には両方ともよく似ていてテーマもネガティブな感情を
表現しているという事ではその差はあまりない。
しかし実際の絵は空の描き方に絞って見ても、
「不安」の方がより抽象的に感じられた。
いや、あれを抽象と具象というのは違うかもしれない。
「絶望」の方が色の境目などがくっきりとしていたんだ。
まぁでもそういう事だ。
「絶望」の方が「不安」に比べ、よりイメージが鮮明なのだろう。
あくまでも私の勝手な解釈なのだが。
また他の部分では、水面に写った月明かりの表現が印象的だった。
ゆれる水面に写った月ってのは、その時点であまり具体的ではない。
それをさらに上手く単純化するのは難しいのかもしれない。
全ての絵で月明かりがどこか浮いた感じを受けた。
或いはそれこそが表現したかった事なのかもしれないが。
今回改めて思った事は、やっぱり絵を見るのは楽しい。
自分の中に蓄積してきた知識や情報によって、
過去に見たそれと比べ、全然違った見え方をする。
文字情報に比べて先入観を持ちにくいので、
見る者によって作品の解釈が極めて多様的なあたりが、
余計そう思わせるのかもしれない。
他の人間が感じた事も見てみたいなぁ。
ムンクはあまり好きな画家ではない。
好きではない理由は「解り難い」から。
しかし今回、美術展に行って少し考え方が変わった。
自分は昔から絵心がなくて絵を見たとき、直感的に構図の素晴らしさとか、
色使いが〜とかいったような感覚が沸いてくる事がなかった。
その為、単純にリアルに近ければ近いほど絵が上手いと感じるし、
緻密であればあるほど高い技術だと感じる。
その点からいくとムンクの絵は上手いとは思えない。
しかし、最近は絵というものを割と真剣に見るようになったせいか、
今までよりも表現という視点で絵を見る事が多くなった。
今回、表現力という視点でムンクの絵を見てると
やはり彼は偉大だなと気づかされた。
展示されている全ての絵を見て思ったのは、
彼は抽象と具象の表現の使い分けが非常に独特だということ。
ここでいう抽象というのは表現の事で抽象画とかの、
空想の世界のような世界観の事ではない。
描いている対象の抽象表現、いわゆる汎化した表現という事だ。
プロトタイプと呼んでもよいと思う。
プロトタイプ理論では人間は具象に対してその所属を認識する時、
脳内に持ったプロトタイプ(イメージ)に照らし合わせて認識する。
例えば魚を見たとき「ひれを持ってて水中で泳ぐ生物」
という脳内のプロトタイプに照らし合わせて、その具象物を魚と認識すると思う。
彼の場合そのイメージが非常に独特だった。
その表現された絵こそが彼の持っているプロトタイプなのだろう。
そしてその抽象表現で充分に彼の表現したいものが
表現しきれているのかもしれない。
まぁ残念ながら私には伝わらないものも多々あったが。
技巧的には、絵の中の最もスポットを当てたい所とそうでない所を、
抽象化するか具象化するかで表現しているものが多かった。
写真とかでも焦点をあわせるかどうかや明暗で表現したりするので、
普通といえば普通の事なのだが、彼の場合、抽象化そのものが独特なので
その技法が新鮮に感じられた。
例えば有名な「不安」と「絶望」。
構図的には両方ともよく似ていてテーマもネガティブな感情を
表現しているという事ではその差はあまりない。
しかし実際の絵は空の描き方に絞って見ても、
「不安」の方がより抽象的に感じられた。
いや、あれを抽象と具象というのは違うかもしれない。
「絶望」の方が色の境目などがくっきりとしていたんだ。
まぁでもそういう事だ。
「絶望」の方が「不安」に比べ、よりイメージが鮮明なのだろう。
あくまでも私の勝手な解釈なのだが。
また他の部分では、水面に写った月明かりの表現が印象的だった。
ゆれる水面に写った月ってのは、その時点であまり具体的ではない。
それをさらに上手く単純化するのは難しいのかもしれない。
全ての絵で月明かりがどこか浮いた感じを受けた。
或いはそれこそが表現したかった事なのかもしれないが。
今回改めて思った事は、やっぱり絵を見るのは楽しい。
自分の中に蓄積してきた知識や情報によって、
過去に見たそれと比べ、全然違った見え方をする。
文字情報に比べて先入観を持ちにくいので、
見る者によって作品の解釈が極めて多様的なあたりが、
余計そう思わせるのかもしれない。
他の人間が感じた事も見てみたいなぁ。
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